瀬戸内寂聴
人は、人を愛していると思い込み、実は自分自身だけしか愛していない場合が多い。
たくさん経験をしてたくさん苦しんだほうが、死ぬときに、ああよく生きたと思えるでしょう。逃げていたんじゃあ、貧相な人生しか送れませんわね。
病気は神さまの与えてくださった休暇だと思って、ありがたく休養するのが一番いい。
健康の秘訣は、言いたいことがあったら口に出して言うことです。そうすると心のわだかまりがなくなります。
とにかく人のことが気になって気になってしょうがない、これが物事にとらわれている心です。そういう心を無くさない限り、心は安らかになりません。
本当に苦しんでいる子どもに、いろんな理屈を言っても駄目。まずは、子どもを抱きしめてやることが大切なんです。
あらゆる戦争は悪だと思っています。戦争にいい戦争なんてありません。私たち老人は、そのことを語り継がなければなりません。
同床異夢（どうしょういむ）とは、同じ布団で寝ていても同じ夢は見られないことです。愛の情熱は三年位しか続きません。夫婦は苦楽を共にして愛情を持ち続けるのです。
人間に与えられた恩寵に「忘却」がある。これは同時に劫罰でもあるのですが。たとえ恋人が死んでも、七回忌を迎える頃には笑っているはず。忘れなければ生きていけない。